「出汁って栄養素があるの?」
「うまみ成分ってなんだろう」
出汁は料理の要と知ってはいるものの、どのような効果があるのか知らない人もいるでしょう。
本記事では、出汁の栄養を解説したうえで、出汁と一緒に摂取しやすい栄養素をまとめています。出汁の効果も紹介するので、出汁についてさらに知りたい方は参考にしてください。
出汁に栄養はある?
結論から言うと、出汁には栄養がたくさん含まれています。
含まれる成分はアミノ酸や核酸、香り成分など出汁を取る具材によって変化します。
グルタミン酸やイノシン酸、グアニル酸などを抽出できると、出汁としてうまみを強く感じます。
摂取したい栄養素に合わせて出汁の具材を選ぶと、効率的に栄養を摂取しやすくなるでしょう。
出汁は和食の要とも言われるほどに重要視される要素です。甘味、苦味、酸味、塩味などの基本5味でうまみを多く含み、おいしさを強く感じます。
うまみは昆布出汁の味を究明した結果、1908年に抽出されたグルタミン酸を日本人が発見しており、和食に根強く関わっている成分といえるでしょう。
具材を煮込む際に抽出されるので、元の具材の栄養素を摂取しやすいのが特徴です。
とはいえ、出汁を抽出した出がらしにも栄養素は残ります。より多く栄養素を摂取したい場合は具材ごと摂取できると多くの栄養素の補給が見込めます。
出汁と一緒に摂取しやすい栄養成分5選

出汁と一緒に摂取しやすい栄養成分を以下に5つ紹介します。
- 脂質
- ビタミンB
- たんぱく質
- 食物繊維
- ミネラル
それぞれ詳しく解説します。
脂質
脂質は細胞膜を形成したり、エネルギー源になったりする栄養素です。肌のハリ向上や、体温の保持などの効果が期待できます。
サバや、サンマなどの青魚には必須脂肪酸と呼ばれるDHAやEPAが豊富に含まれます。
血流改善効果や脳機能活性化があり、中性脂肪やコレステロール値の抑制効果も見込めるでしょう。
必須脂肪酸は人間に必要な脂肪ですが、体内では生成できません。効率よく摂取したい場合はサプリメントの併用も効果的なので検討してみましょう。
ビタミンB類
ビタミンB類はエネルギーの摂取を補助する役目があります。体の構成成分になるたんぱく質や脂質などをスムーズに変換させるので一緒に摂取したい栄養素です。
魚や肉類に多く含まれる栄養素で、水に溶けやすい性質を持つので出汁に抽出しやすいです。
細胞の生成や機能回復があるので、美容効果、体力向上などが期待できます。筋トレをする方や、健康寿命を気にしている方たちを中心に注目される栄養素です。
タンパク質
たんぱく質は、体の組織を構成する細胞を新たに生成するのに必要な栄養素です。肉類や魚類、豆類などに豊富に含まれます。
免疫機能の向上や代謝改善、血圧の調整効果などが期待できます。細胞を新しくしたり、血管の生成をして血流の改善にもつながるので、体力やアンチエイジング、美容効果などが見込めるでしょう。
健康維持ができる量のたんぱく質の摂取は難しいので積極的に取り入れたい栄養素です。
食物繊維
食物繊維は体内で消化されず、老廃物の排出を補助する成分です。葉物や根菜、キノコなど植物性の食品に多く含まれています。
便や老廃物を腸内から排泄しやすくしてお通じが整うので、便秘解消効果が期待できます。
また、血糖値を安定させる効果があるので糖尿病予防も見込める成分です。
水溶性と不溶性で水への溶けやすさが違うので、それぞれ摂取できると整腸効果をより得られるでしょう。
ミネラル
ミネラルは、鉄分やマグネシウム、カルシウム、亜鉛など無機物の必須栄養素です。体内では生成できないため、食品やサプリメントなどから摂取する必要があります。
骨や歯の生成、神経機能の調整、貧血の予防、免疫機能の向上などに効果がある栄養素です。
合わせて効果倍増!出汁の3大うまみ成分を紹介

出汁のうまみ成分は合わせて取り入れると相乗効果が生まれ、うまみを7倍以上に感じます。
出汁の3大うまみ成分と抽出できる食品を以下に紹介します。
- グルタミン酸|昆布
- イノシン酸|かつお節
- グアニル酸|干ししいたけ
それぞれ詳しく解説します。
グルタミン酸|昆布
グルタミン酸は昆布から豊富に抽出できるうまみ成分です。他にもトマトや玉ねぎなどの食品に含まれます。
母乳にも含まれるうまみ成分なため、人間が生まれた頃から感じるうまみ成分で、生物学的にも摂取したいと感じられる成分です。
1908年に日本で昆布出汁から発見された成分で、日本料理の深みやおいしさの素と言えます。
たんぱく質を構成するアミノ酸のひとつなので、たんぱく質を含む食品には含まれている可能性が高いです。
イノシン酸|かつお節
イノシン酸はかつお節や鶏肉などの動物性の食品から豊富に抽出できるうまみ成分です。
DNAを構成する成分の核酸のひとつで、細胞の生成の補助する効果も期待できます。
動物性たんぱく質が熟成された食品に豊富に含まれるので、生魚や焼き魚のかつおよりも、かつお節の方がイノシン酸を増加させる特徴があります。
主に魚や肉類を使った料理に使うと風味がさらに引き出されおいしく感じられる成分です。
グアニル酸|干ししいたけ
グアニル酸は干ししいたけに豊富に含まれるうまみ成分です。食品の中では干ししいたけがダントツで、他の食品より倍以上の量を含みます。
干ししいたけ以外には、えのきやマッシュルーム、ドライトマトなどにも含まれます。
グアニル酸は食品を乾燥させたり、冷凍後に加熱したりする特徴があるので、積極的に摂取したい場合は、加工品を選ぶとよいでしょう。
グアニル酸はグルタミン酸やイノシン酸のうまみを引き出す効果があるので、併用して料理に取り入れると強くうまみを感じられるのでおすすめです。
出汁から得られる5つの効果

出汁からはうまみを感じるだけでなく、体や精神的にもうれしい効果を得られます。
出汁から得られる効果を以下に5つ紹介します。
- 調味料や添加物を減らせる
- リラックス効果でストレスを軽減できる
- 疲労を回復して集中力アップをサポートできる
- 免疫力の向上が期待できる
- 美容効果が期待できる
それぞれ詳しく解説します。
調味料や添加物を減らせる
出汁によってうまみを増幅させると調味料に頼らなくても味に満足しやすくなります。
うまみは基本5味のひとつなので、味覚を満たしやすくなるからです。
出汁でうまみを増やした料理であれば、塩味や甘味を増やさなくてもよいので、塩分や糖分の原料に役立つでしょう。
高血圧や糖尿病などの生活習慣病予防につながります。
うまみを増やして塩分や糖分の抑制は栄養士の栄養指導にも活用されているので、健康に気をつけたい方は、出汁でうまみを増やした料理を活用してみましょう。
リラックス効果でストレスを軽減できる
出汁にはうまみ成分によるリラックス効果があります。
うまみを感じることで幸せホルモンのセロトニンを分泌させるからです。
また、出汁の香りによってリラックス効果を感じるでしょう。
うまみと香りのリラックス効果によって、疲労回復やストレスの軽減などの効果が期待できます。
精神の安定や脳の疲労回復は体の健康状態にも影響します。
出汁を率先して取り入れて心身ともに健康な状態を目指しましょう。
疲労を回復して集中力アップをサポートする
出汁に含まれるペプチドには、抗酸化作用があります。抗酸化作用で酸の分解を促進できるため、疲労回復につながります。
また、アスパラガスから出汁を取れば、豊富に含まれるアスパラギン酸を摂取可能です。
アスパラギン酸には、乳酸分解作用があるので疲労回復効果が期待できます。
疲労が軽減できれば、集中力がアップできるため、学習や運動など高い集中を必要なシーンに合わせて取り入れるとよいでしょう。
免疫力の向上が期待できる
新陳代謝を改善し、血行促進、細胞の回復作用があります。
出汁のうまみ成分はアミノ酸や核酸由来の成分が占めており、細胞の生成に関与する成分です。積極的に摂取すると免疫力の向上が期待できます。
効率よく免疫力を高めたい場合は、サバやアジなどの青魚を中心に豊富に含まれるDHAやEPA、細胞や組織の素になるたんぱく質などを出汁に入れるのをおすすめします。
ビタミンB群も同時に摂取できるとエネルギー代謝をよくしたり、栄養素を効率よく吸収できるので、出汁に入れる食品にも気をつけてみましょう。
美容効果が期待できる
出汁によってうまみ成分を取り入れられれば、満足感が増えるので食べ過ぎの予防ができます。糖質の抑制にもつながるためダイエット効果にもつながります。
うまみ成分を接種すると、新陳代謝向上や抗酸化作用によって美肌効果が得られるでしょう。
疲労回復やリラックス効果によって活気を満たせるので、精神面から若々しくなれる可能性があります。
うまみ成分・栄養がたっぷり!出汁を活用しよう

出汁を活用した調理は、うまみ成分が多く摂取できる調理法です。
出汁自体にも栄養素は含まれますが、具材を工夫すれば栄養素を効率よく摂取できるでしょう。
塩分量の抑制やリラックス効果、料理の満足感アップなどで、おいしさと栄養をともに得られるメリットがあります。
一方で、栄養素は出汁の出がらしの方にも残ります。
出汁から栄養素を摂取できますが、出がらしの方が豊富です。
出汁のみでの栄養補給は不十分になるので、食材を追加するのがおすすめです。
出汁を活用しておいしく栄養補給していきましょう。