日本の食卓で何気なく使われている「出汁」。料理の味を左右する重要な要素でありながら、種類や特徴について詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
普段使う出汁を少し変えることで、料理が美味しくなり栄養もバランスよく摂取できます。
本記事では和食の基本となる7種類の出汁について解説し、だし製品ごとの使い分けや出汁の取り方も紹介します。それぞれの違いを理解して料理の幅を広げるため、ぜひ参考にしてください。
■和食の基本だし7種類|特徴や使い方も解説

和食に使用する基本的な出汁は、7種類存在します。それぞれ栄養素や味わいに特徴があり、出汁を使い分けることで料理が美味しくなるでしょう。
| 出汁の種類 | 特徴 |
| 昆布だし | 上品な旨味がある基本的な出汁 |
| 鰹だし | 香りや旨味が強く和食の定番 |
| 煮干しだし | コクのある風味が感じられる |
| 椎茸だし | 独特な風味と旨味を持つ |
| あごだし | 上品なかおりを持つで高級な出汁 |
| しじみだし | 貝の旨味が凝縮された出汁 |
| 野菜だし | 優しく淡い味わいで栄養価も豊富 |
それぞれ詳しく解説します。
・昆布だし
昆布だしは和食の基本となる出汁の一つで、干した昆布を使用します。
出汁に使用する昆布は90%が北海道産で、北海道付近の地域によって4種類に分けられます。味わいや適した利用方法が異なるため、特徴を把握しましょう。
| 昆布の種類 | エリア | 出汁の特徴 | 使い方 |
| 真昆布 | 道南 | 甘みがあり澄んだ味わい | 鍋、佃煮、塩昆布 |
| 利尻昆布 | 道北 | 味、香りが強い | お吸い物、漬物 |
| 羅臼昆布 | 道東 | 濃厚で高級な味わい | 煮物、鍋、懐石料理 |
| 日高昆布 | 道南 | バランスよく使いやすい | 煮物の具材、昆布巻 |
参考:一般社団法人日本昆布協会
昆布だしは上品な旨味が特徴で、澄まし汁や茶碗蒸しなど、繊細な味わいを楽しむ料理に適しています。昆布の産地によって風味が異なり、特に羅臼昆布や真昆布は高値で取引されています。
出汁を取る際は水からゆっくり温め、65度前後の温度で旨味を抽出するのがポイントです。沸騰させてしまうと苦味が出るため注意しましょう。
・鰹だし
鰹だしも昆布と並んで和食の基本的な出汁のひとつです。昆布と鰹の合わせだしが、幅広く和食で活用されています。
鰹節は大きく分けて、「荒節」と「本枯節」の2種類に分かれます。
| 鰹節の種類 | 製造方法 | 製造期間 | 味の特徴 |
| 荒節 | 切り身を煮て骨抜きし、燻し乾燥させる | 1ヶ月 | 香りが強く、あっさりとした味わい |
| 本枯節 | 荒節を削ってカビを付け、さらに乾燥させる | 半年~2年 | まろやかな香りで旨味が強い |
参考:一般社団法人日本鰹節協会
本枯節は荒節をもとに作っていくため製造期間が長く、製造コストも上がります。カビ付けと熟成の度合いにより旨味や香りが変化し、削り方によっても味わいは異なります。
長時間煮出すと風味が飛んでしまうため、沸騰した湯に入れて短時間で抽出するのが基本です。
・煮干しだし
イワシを煮て乾燥させた煮干しから取る出汁のことを指し、力強い風味が特徴の出汁です。
「いりこだし」とも呼ばれ、主にカタクチイワシを使用し、マイワシやウルメイワシを使用する場合もあります。鰹だしと同じくイノシン酸中心の旨味を持ち、鰹だしより香りが強くコクのある味わいが特徴です。
頭や内臓を取り除くとクセが少なくなりますが、あえてそのまま使うと濃厚な味わいを楽しめます。うどんやラーメンなどの麺料理との相性が良く、味の濃い煮物にも適しています。
・椎茸だし
椎茸だしは、干し椎茸を水に浸けて戻す際に出る出汁を指します。
独特の香りと旨味が特徴で、グアニル酸という旨味成分を多く含んでいます。高温で戻すと苦味が出やすいため、水からゆっくりと時間をかけて一晩以上抽出するのがおすすめです。
精進料理など肉や魚を使わない料理での旨味の補完や、煮物の風味付けに適しています。
・あごだし
あごとはトビウオのことを指し、高級なだし素材として認知されており、乾燥または焼いたものが出汁の材料となります。
トビウオは海上に飛び上がるため筋肉に対して脂肪が少なく、雑味の少ない上品な出汁が取れます。
九州で縁起のいい高級食材として扱われ、長崎県が主な産地として、古くから親しまれていました。現在は日本全国に広がり、お吸い物や鍋、懐石料理にも使われています。
・しじみだし
しじみだしは代表的な貝から取る出汁のひとつで、江戸時代からしじみ汁として庶民の食生活に存在していたとされています。
貝類の旨味成分であるコハク酸を中心にグルタミン酸やグリシンを含んでおり、パンチのある濃厚な旨味が特徴です。しじみ汁以外にラーメンや炊き込みご飯としても活用でき、出汁を取った身も食べる事で無駄なく栄養を摂取できます。
ただし、出汁を取る前に予洗いや砂抜きなどの下処理が必要なため、手間がかかることに注意してください。
・野菜だし
野菜だしは野菜の皮やきのこの端など、家庭で捨てがちな部分を使って取る出汁のことです。
玉ねぎやじゃがいもの皮、しいたけの軸が出汁の材料に適しており、豊富な栄養が溶け出し、優しい味わいが特徴です。フードロス削減に繋がるだけでなく、ベジタリアンやヴィーガンの方も使用できる出汁として近年注目されています。
イタリア料理のブロードと似ており、和食以外に洋食でも活用できます。野菜くずを集めるのが面倒な場合は、市販の野菜だしを利用してみるのもよいでしょう。
■美味しい出汁の作り方を解説

出汁は基本的に素材を一定時間茹でることで抽出します。出汁を取る工程はいくつかのポイントをこだわることで、味や香りが良くなります。
- 出汁の素材にこだわる
- 適した温度と時間で煮出す
- 合わせだしを取る
それぞれ詳しく解説します。
・出汁の素材にこだわる
美味しい出汁を取るには、まず素材選びが重要です。出汁の素材は、産地や加工方法によって風味が異なります。
例えば昆布は産地によって特徴が異なり、利尻昆布は上品な旨味、羅臼昆布は強い旨味と香り、真昆布はバランスの良い味わい、日高昆布はとろみが特徴です。
鰹節も削り方や産地、本枯節なら熟成期間によって旨味が異なります。日々出汁を使って、好みの味や香りを見つけていきましょう。
・適した温度と時間で煮出す
出汁は素材によって、適した抽出温度や旨味や風味を感じやすい抽出時間が異なります。
昆布、鰹節、椎茸は以下のような出汁の取り方が広く知られています。
| 出汁の材料 | 抽出温度 | 抽出時間 |
| 昆布 | 65℃ | 30分~1時間 |
| 鰹節 | 85℃ | 3分 |
昆布は沸騰した湯で煮出すと苦みやぬめりが出てしまうため、65度前後の温度帯が理想とされます。
鰹節は85℃で数分抽出するのが適切とされています。鰹節を入れると湯の温度が下がることを考慮して、沸騰後火を切ったお湯に鰹節を入れ、数分経って引き上げるやり方が一般的です。
上記の方法はあくまで一例で、料理の完成度を追求するために、昆布を水出しで使用することもあります。鰹節も厚削り節であれば抽出時間が長くなります。
出汁の取り方で旨味や塩味、雑味が変化するため自分の好みや料理に合った方法を見つけましょう。
・合わせだしを取る
出汁は1種類ではなく、複数の素材で取ったものを合わせた方が美味しさを感じられます。代表的なものが、昆布と鰹の合わせだしです。
昆布(グルタミン酸)と鰹節(イノシン酸)の組み合わせは「うま味の相乗効果」を生み出し、単体で使うよりも何倍も強い旨味を感じられます。両方の良さを引き出し、深い味わいが生み出せるため、鍋や煮物、味噌汁など幅広い料理に活用できます。
昆布と煮干し、昆布とあご、野菜としじみなど、相性の良い組み合わせは他にも多く存在します。料理の特性に合わせて組み合わせを工夫してみましょう。
■便利なだし製品を紹介|メリット・デメリットも解説

出汁の材料を毎日煮出すのは、手間と時間がかかります。一方で、市販のだし製品は手間がかからず便利なものの、デメリットも存在します。
各製品のメリット・デメリットを確認しましょう。
・顆粒だし
顆粒だしは「手軽さ」が魅力のだし製品です。
顆粒だしはお湯に溶かすだけで簡単に使えるため、忙しい日常の料理に便利ですが、保存性が高い代わりに、顆粒にする過程で熱が加わっており、風味を感じづらい弱点があります。
構成内容は塩分や砂糖が多く、旨味を添加する調味料も加えられています。
一方で、合わせだしや減塩だしなど、種類が豊富に選べるため、自分が使いやすいものを選んでください。
・液体だし
液体だしは、希釈して幅広い料理に使用できる調味料です。
液体だしは濃縮タイプのものが多く、水や湯で薄めて使用します。特に「白だし」と呼ばれる薄口醤油ベースの液体だしは、色を付けずに旨味を加えられるため重宝されています。
白だしやめんつゆなどは醤油が含まれているため、「出汁入り調味料」として使用するのがベストです。料理の下味付けや煮物などに手軽に使えます。
・だしパック
だしパックはティーバッグ状の袋を使用して、昆布や鰹節から取ったような出汁が取れる便利な製品です。
ティーバッグの中には鰹節や昆布などのだし素材が詰められており、手作りだしに近い風味を手軽に楽しめるのが特徴です。
ただし、出汁を取る時間は顆粒だしや液体だしより長くかかり、即席性では劣ります。
一度使ったパックは基本的に再利用できないため、コストパフォーマンスを考えると頻繁に使うには向かない場合もあります。
求める用途に合った適切な出汁を選択しましょう。
■簡単で栄養価満点な出汁を使いたいならKAKEDASHIがおすすめ

和食の出汁は昆布や鰹などさまざまな食材から抽出でき、かけ合わせることで旨味や風味が重なった美味しい出汁を味わえます。
出汁の素材、温度や時間にこだわって作ると美味しい出汁が作れるものの、時間がかかるため毎日出汁を取るのは難しい方も多いはず。顆粒や液体の即席だしは便利な反面、塩分量の多さや風味の弱さが弱点です。
忙しい日常の中でも手軽に本格的な出汁を楽しみたい方は、「KAKEDASHI」がおすすめです。
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